俯いて隣を歩く季蛍の背中に手を回すと、怯えるような目で見上げてくる。
「怒られると思ってる顔だな」
「…怒らないの?」
「怒って欲しいか?」
「……ううん」
「薬が効かない…って黙ってたらダメだろ?判断しろ」
「…高島先生に聞いたの?」
「当たり前」
「だって…気のせいかもって…思ったから」
「気のせいじゃないだろ?大体は」
「…もう嫌なの…喘息」
体を寄せて胸に抱きついて、顔を埋めて
「もうイヤだ」
の首振り攻撃。
「…喘息イヤだって薬サボると喘息が暴れるぞ」
「……なにそれ」
顔を上げて泣きそうな表情を浮かべる季蛍は、
背中に手を回した。
「もうやだ…」
「…やだやだ言わない。ネガティブ発言禁止」