「パパ…、もう帰る?」
持って帰る季蛍の着替えを整理していたら、夏来が小さな声で聞いてきた。
「そうだな。そろそろ帰ろうか」
悲しそうに眉を下げると、季蛍の胸元に飛び込んでいく。
「また会える?」
「…もちろん。また来てね」
季蛍も寂しそうな表情を浮かべ、夏来の頬に一度口付けをした。
いつもならきっと『もう少しいて欲しい』と素直に引き止めるだろうが、今回はそうじゃない。
夏来に弱った姿を見せたくないからこそ、グッと堪えているんだろう。
本当はもっと話していたいはずだ。
「おくすり、がんばってね?」
そんな夏来の小さな声援は、きっと大きな希望になる。
「ありがとう」
季蛍の手のひらが、夏来の頭を優しく撫でた。


