「ママも!」
スケッチブックに描いた絵を見せていた夏来が、季蛍にも色鉛筆を渡した。
手の甲に繋がった点滴の管を左手で避けながら、色鉛筆で紙にウサギの絵を描いた。
微かに震えるその手には、力が入っている。
「…っ、夏来ごめん。あんまり上手に書けなかった」
無理に浮かべた季蛍の笑顔を見た夏来は、必死に首を横に振った。
「すごい!じょうず!」
目を輝かせながらスケッチブックを眺める夏来を、季蛍は手で引き寄せてそっと抱き寄せる。
「夏来も描いて?」
「わかった!」
「じょうずだね、夏来」
「これあげる!」
「…いいの?」
「うん!」
「ありがとう、ここに飾っとくね」
紙をベッドサイドに置くと、季蛍は嬉しそうに顔を綻ばせた。


