「ほら、またツラくなるだろ?」
泣けば怪しくなる呼吸。
ここ2日で何度も過呼吸を起こしているせいで、簡単に起こりやすくなっているのかもしれない。
「落ち着け…、話があって来たんだから」
少しの間背中をさすってもらい、呼吸は徐々に落ち着いた。
「季蛍が夏来くんに会いたいことは知ってる。でもその熱で会えるか?」
涙を堪えて何度も何度も頷くけれど。
「正直言って今の熱じゃ無理。
会えても数分で限界が来る。
夏来くんに心配を掛けるのは嫌だろ?」
唇を強く噛み締めなければ、また涙が溢れてしまう。
「だけど蒼先生だって本当は会わせてあげたいと思ってるし、俺だって出来るならそうしたい」
"だからね?"
その言葉に顔を少し上げると、高島先生はポケットから何かを取り出した。
「座薬を使ってもいいなら許可を下ろそう」
「…本当に?」
「熱が下がってる間は水分も自分で取れるし、少し食事もできる」
「……」
「その代わりその後熱は上がるから、あんまり無理は出来ないよ?」
「…はい」
「頑張れる?」
頷けば、高島先生は微笑んだ。
「よし、えらい」
頭を撫でられ子供扱い。
怖いのは本当だけど。