一人ぼっちになってから一時間を回る頃、ようやく病室の扉がノックされた。
「入るよ」
中に入ってくる高島先生と目が合って、思わず視線を床に落とす。
「過呼吸多いな」
「だって……ッ」
そんなことを言われても、自力でコントロールなんて出来ない。
「いろんなこと考えたら嫌になるし、泣きたくなって苦しくなって…季蛍がつらいだけ」
ベッドの縁に両腕を掛けて乗り出す高島先生の手が、首筋と額に触れる。
「せんせ…、面会は…?」
「……」
黙ってしまった高島先生を見て、どうしようもない辛さが涙になってこみ上げてくる。
「5分でいいから…ッ」
私が医師側に立っていたら、許可を下ろすのか?
そう聞かれて頷く自信はない。
だから高島先生は簡単に許可を下ろさない。
それくらいわかっているけれど。
「泣くのやめよう…、キツくなるから」
指で涙を拭われて、胸が締め付けられる。
「今日もダメ」
って、また言うの?