「あぁ」



体温計の表示を確認した高島先生が、残念そうな顔をした。






察して泣きそうになる私。


困った顔をする先生。








「辛いのは季蛍だから」








熱が37度5分まで下がっていたら許されていた面会。



どこかで無理だとわかっていても、現実は受け止めたくない。






「ほんとに少しだけだから…ッ」





そう言っても、高島先生は首を縦には振らない。








「食事は無理しなくていいから」




そう言い残した高島先生と代わるように陸くんが病室にやってきて、食事のお盆を持ってきてくれた。




「季蛍さん、夜眠れました?」



「…、寝れたよ」



「そうですか、よかった!」









食べものなんていらない。


全部点滴で取ればいい。


どうせ体は受け付けない。








「何か持ってくるものあります?」


「…平気、大丈夫」


「わかりました。何かあったら呼んでください」










「…ッうゔ…ッ」


陸くんが病室を出て行くのと同時に、堪えていた涙が溢れ出す。


強く唇を噛み締めていたせいか、口の中に血の味が広がる。





熱さえ自力で下げられない。