ドアをノックして中に入ると、季蛍は目を覚ましていた。
「おはよう」
「…はよ」
額に浮かぶ汗を見れば、熱が高いことくらい容易に想像できる。
「着替え持ってきたよ」
「ありがと…」
「着替えたらいいよ。体冷やすから」
「…ん、そうする」
自分で上半身を起こすと、季蛍はベッドの縁に座った。
「はい、着替え置いとく」
「ありがと」
荷物の整理をしようとカバンの中身を取り出すと、ベッドの上から服が落ちる。
「はは、手に力入ってない?」
「…ごめん」
高熱なら無理もない…か。
「ボタン外すよ」
「やってくれる…?」
「うん、やるから」