病院につくと、ナースステーションに高島の姿を見つけた。
「こんにちは」
「あ、こんにちは。一人ですか?」
「もちろん」
「すみません、熱が高くてどうしても」
「いや、いいよ」
「夏来くん、楽しみにしてたはずです」
「言ってないから大丈夫。泣かれたけどね」
「やっぱり。季蛍も本当は会いたがってたんです」
「そろそろ弱音が出る頃か」
「そうですね」
『会いたい』
のはお互い、か…。
「じゃあ病室行ってくる」
「意識あるかな…、起きてるといいんですけど」
「熱高いから寝てるかもな」
「蒼先生なら起きますよ」
「起こすのもちょっと困るんだけど」
「ふふ、季蛍は蒼先生の気配に敏感ですもんね」
「はいはい」
いよいよニヤニヤ楽しんでいる高島を背に、ナースステーションを後にした。