しばらくカルテを眺めていたら、電話が鳴った。



「…悪い、任せて」



「あぁ、いえ。ちょっと長くなっちゃいましたね」



時計を見るとあれから30分以上が経過していた。



「話聞きました、いろいろ。…薬飲んでも発作が出るから…って薬飲むの止めてたみたいです」



「…発作が出る?」



「どうせ薬飲んだって収まらないから…って聞きました。だったら言えばよかったって怒っちゃったんですけど」



「どうせ…って飲まないのはダメだな。だから最近酷いのか」



「私が診る患者さんはみんな良くなってるのに…ってやっぱり気を落としてるみたいです。

夏来くんの件も責任感じてるようで」




「そっか。俺ももう帰るから連れて帰る。悪いな、仕事止めて」



「いえ。季蛍も最初から蒼先生に話せば怒られなかったと思うんですけどね」



「話しづらいのかな、俺」



今更ながらそう思う。



「いや…蒼先生に気を遣ってる…とかそんな所だと」



「まぁ…な」



今までから言えば高島の予想が正しいだろう。



無意識のうちに遠慮して話さない季蛍にも、いつになったら…と問いかけたいところ。