" 疲れた "
なんて感情は、しばらく忘れていた。
私には理解することができない苦しみを持つ患者さんも多い。
そんな患者さんの力になれたら、少しでも頼りにしてもらえたら。
それ以上のことはないと思う。
薬を使っても回復が見られない患者さんから、強く当たられることだって少なくない。
慣れたことだけれど、それ以上何もできない自分に無力さを感じることも多い。
薬を変えて回復が見られた時、患者さんの表情は明るくなる。
"先生 いつもありがとうね"
そう言われた時、この仕事にやりがいを感じる。
患者さんとの言葉のキャッチボールが上手くいくと嬉しくなる。
けれど、気持ちと体は同じじゃない。
"疲れ"を忘れた私の無理な労働は、何ヶ月も落ち着いていた喘息を誘発した。
病院にいる時は酷い咳を強めの薬で抑えていたが、そうでない時は薬の使用をなるべく避けた。
そんなことが何週間も続いて、咳をする度に激痛が走るようになった。
体には蕁麻疹も見られ、痒くて痛い、そんな辛い日が何日も続いていた。
結果的に高島先生にバレてしまったけれど、もうこれでよかったのかもしれない。