「俺は季蛍の話、今まで全部聞いてきたつもりだったけど?」




「……」




「…家で聞いても話してくれないから。俺だって心配してる」




「……ッ」



ぽたぽたと涙が落ちてきて、また白衣が少しずつ濡れていった。



その涙を蒼先生は拭うことなく、そのまま見つめていた。



「…じゃあ医局戻って荷物持ってくる。季蛍は高島と話した方がいい」