「今日空いてる?」


デスクに両手をついて身を乗り出す高島先生が、そっと聞いてきた。




「今日…ですか?」


「帰り、ちょっと寄れる?」


「……どこに?」


「どこに…って、診察」









一瞬『家に寄れ』という事だと思い、有り得ない勘違いに思わず失笑。



「なんだ…」


「なんだ…って、それ以外あるかよ」







「…行けません」


「どうして?」


「…。諸事情」


「何の」


「……。仕事の…」






考えながら零す言い訳は、全く説得力がない。


そんなことくらい自分でもわかる。






「蒼先生には言わないから」


高島先生が小声で囁くのを聞いて

それなら、と頷いてしまった。







「仕事終わったら俺のとこにおいで」


「はい」


「約束ね」


「…わかりました」