医局に広がる甘い香り。 差し入れスイーツの匂いでさえ、今はキツい。 …ガタ。 物音で顔を上げ、気配を感じる隣に目を移す。 「お疲れ」 「は…ッ、お疲れ様です」 「季蛍も貰えば?」 「…いいです」 「何で?好きじゃん」 「お腹…空いてないし…」 高島先生が不思議そうに聞いてくるが、ろくな言い訳が思いつかない。 「言い訳考える暇あったら素直に言えって…」 呆れたような高島先生の言葉に、思わず私も苦笑い。 バレてた…。