ぼたぼた涙を零して、自分の白衣を濡らしていく季蛍を見つめながら、携帯電話の向こうに耳を澄ませた。



「はい?」



「蒼先生、今大丈夫ですか?」



「大丈夫。さっき一段落したところ」



「そうですか。季蛍、吸入させて帰らせます」



「…また無茶したか?」



ため息混じりの蒼先生。



「…無茶というか何というか。薬を飲まないのには何か理由が?」


「さぁ……俺も向かう。帰ろうと思ってたし」