気がつけば、私は車の中にいた。



重たい瞼を必死に開くが、フラついて窓に頭を強打した。



「ったい…」



病院の待合室で途切れている私の記憶。



「…奏太?」



右隣で運転をしている奏太に声を掛ける。



「どうした?」


「…今帰り?」


「帰り」


「……」


「体温測りながら寝ただろ」


「…」




心当たりがなく、記憶は途切れている。




「点滴したから大分楽なはずだけど」



そう言われてみれば、酷く怠かった体も少し軽くなっているような気がする。