「愛香、喉見せて」
部屋の電気を明るくし、顎を持ち上げる。
スプーンで舌を抑えて中を覗くと、扁桃腺が赤く腫れ上がっていた。
泣くほど痛いわけだ。
ストローで水を飲むたび、痛みに顔を歪めた。
身動きを取らなくなった愛香に上着を羽織らせ、肩を叩いて意識を戻す。
車を走らせること数十分、病院に到着。
フラフラとおぼつかない足元ながらも、自力で歩いて院内へ。
ワイシャツの裾が握られている。
まるでイヤイヤ付き添う子どものようだ。
「受付するから座ってて」
「ん」
フラフラと待合室の端っこへ。
その姿を見届けてから受付に行く。