愛優を病院の一般出入口に下ろした後、季蛍は表情を一変させた。
「あのなぁ…」
「何?」
「朝からムスッてしない」
「してない」
「これから仕事だろ」
「してないから」
「そんなに俺と2人きりになるのが嫌なのね」
「…」
「良かったな、今日は俺が当直で」
「………、…怒った?」
「別に怒ってない」
あれだけムスッとしてたくせに、素直になるまでが早すぎる。
相変わらず 単純だ。
「朝はもういいから。何かしら口に入れろよ、昨日の今日なんだから」
一度頭に手を置いて、ほっとため息。
「……ありがと」
単純なのも悪くない。