「お待たせ!」






支度を終えた季蛍が、ようやく機嫌を戻した。




「一人で受診できる?」


「うん、平気」


「無理だったら休んでもいいから!」








いつものように俺からしつこく

『朝ご飯を食べろ』

と言われないことを察知したのか、季蛍は軽い足取りで玄関先へ向かって行く。








「帰ったら処方箋見るから」


「わかった、薬局も寄ってくる」





俺の話す隙もなく、季蛍は一番早く家を出た。


「ご飯を食べていけ」


そう引き止められる前に家を出たのだろう。





そこまでして食いたくないのかよ…