翌朝、家を出る一時間前。
季蛍に何度も声を掛けたが、起きる気配はない。
「遅れるよ」
最後に体を揺すって声を掛け、寝室を出る。
薬も飲むのに間に合うのかよ…
若干呆れつつリビングに出ると、愛優も既に起きていた。
「おはよ」
「…はよ」
素っ気なさに寂しくもなるが、こんなものなのだろう。
そう思って一度は流そうとしたが、顔色を確認してそうもいかなくなった。
目に涙が溜まっていて、今にもこぼれ落ちそうだ。
「…体調悪い?」
「……。」
流れで聞いてみるけれど。
「あや」
「…大丈夫」
「季蛍に言っとくよ」
「いい、体調悪そうだったから」
首を左右に振る愛優が、細かい咳を繰り返す。
「ほんとに大丈夫…」


