「愛優」
家に入ってすぐに、季蛍がソファに体を沈める愛優の姿を見つけた。
「大丈夫?」
季蛍がそう聞くが
「…ごめん」
そう言ったきり何も言わない。
一番最初に謝ってしまうところも、季蛍とそっくり。
愛優のことは季蛍に任せよう、
そう思ったところで、ソファの下に小さな箱を見つけた。
「薬飲んだの?」
確認すれば、喘息の薬ではなく自宅の薬箱に入っていた頭痛薬。
「ごめん、我慢出来なかったの…」
「何かあっても助けられないよ」
季蛍が愛優の様子を見てやりながら、落ち着いた声で言った。
「だよね、ごめん…」
「吸入しよっか、今準備する」
「ありがと…」
言葉を発すると共に大きく息を吐き、ソファに体を沈めてしまう。
「あや、あっちの部屋行こ」
「ん、うん」
「…部屋移動する意味あんの?」
季蛍に問うと、若干睨まれた気がした。
「気にするでしょ、愛優だって」
2人で部屋を移動した後、扉もきちんと閉められた。
完全に俺が邪魔者、か…。
とも思うが、そんなものかと納得もできる。


