「港」
声を掛けられて振り向くと、遅れてやってきた蒼と高島だった。
「来たんだ」
「本当は来る予定なかった」
「無理して参加?」
「港先生こそ忙しいですよね?」
「俺も無理矢理だけどね」
「俺らだってすぐに帰るよ」
蒼も高島も、疲れきった顔で苦笑する。
「季蛍は来てますか?」
高島にそう聞かれて驚いた。
「店の外で会わなかった?」
「いいえ、会いませんでした」
「ちょっと空気吸いに外にいるよ」
出入口を指差して言うと、蒼は眉をひそめる。
「何かあった?」
「ちょっと空気がきついって。俺に助け求めに来た」
「空気?」
「タバコの煙」
「あぁ…」
「しばらく戻ってないから行ったほうがいいかも」
高島も、蒼と顔を見合わせる。
「見に行きます?」
「そうだな…。」