「無理することないよ」
「…高島先生来てからでもいいかなって」
「でも顔色悪いと思う」
「ちょっと苦しいのは本当です」
「季蛍さん、出ようよ」
頷く季蛍さんと、店の出入口へ。
後から続いてやってくる季蛍さんの足取りは、やはり安定しない。
危なかった…。
店の外に出ると、気持ちの良い風が吹く。
「港くんありがとう…」
店を出た季蛍さんは、大きく息を吸った。
「1人じゃどうしても出づらくて。港くんがいてくれて良かったです」
「我慢されるより助かる」
「落ち着いたら戻ります、もう大丈夫です」
「何かあったら言ってね」
「はい」
"戻ってください"
季蛍さんが遠慮してそう言うので、一旦店内に戻ることに。
「戻ったら声掛けて」
「わかりました」