「夕飯、実家でいい?」
「食べられなくて迷惑じゃない…?」
「…そんなこと気にする必要ないだろ?」
「ならいいけど…」
残してしまうことはできれば避けたいけれど、食べられる自信もない…。
車で移動すること30分、港の実家に着いた。
港がインターホンを鳴らすと、すぐに扉が開く。
「いらっしゃい」
いつもと変わらず暖かく迎えてくれるお母さんが、私を見て表情を変えた。
「陽ちゃん、体大丈夫なの?」
「はい、もう大丈夫です」
「良かった、港が緊急手術だなんて言うからびっくりしたのよ」
家の中へと促してくれたので、先に部屋へ上がらせてもらう。
「お邪魔します」
「結くん お利口に待ってたのよ」
「本当ですか?」
「将来が楽しみね」
部屋を覗くと、おもちゃを口に咥えて嬉しそうに微笑む結がいた。
「ただいま」
抱え上げてぎゅうっと強く抱きしめる。
懐かしい匂い。愛しい温もり。
「待たせてごめんね」
にこにこ微笑む結の柔らかい頬に口付け。
「陽、傷が痛んだら無理しないで」
あとから部屋に来た港が、気にして声を掛けてきた。
「大丈夫だよ、これくらい」
柔らかい肌を密着させて、何度も抱きしめる。
久しぶりのこの温もり。