長いようで短かった入院生活が終わった。



「持つよ」


「え…ッ、悪いよ」





断る間もなく港が荷物を持ってくれる。



「ありがとう」








久しぶりに外に出た。


久しぶりに地面を歩いた。






「はい、乗って」




促されるまま車に乗りこみ、港が気にかけた様子で声を掛けてくれる。




「酔い止めは?」


「多分大丈夫だからいい」


「…久しぶりだし飲んどけば?」


「水飲みたくないんだもん…」


「…。わかったよ」







「その代わり気分悪くなったら言えよ」





その言葉に頷くと、港も頷いてくれた。