「じゃあ行くね」 「うん…、ありがと」 席を立つ港がもう一度髪を撫でてくれたけど、その手はすぐに離れてしまう。 手の温もりの余韻はすぐに消え、港が扉へ向かっていくのがぼんやりと確認できる。 「また来るね」 「…ん。待ってる」 港は振り返らず、そのまま部屋を出ていった。