結を寝かせて部屋を出ると、入れ違いになるように陽が扉の前にいた。
「結は…?」
「寝たよ」
「ありがとう、大変だった…?」
「大丈夫。すんなり寝てくれたよ」
「そっか、よかった…」
安心したように笑う陽の肌に触れれば、汗ばんでいて熱く感じる。
「痛みは引いた?」
そう聞くと同時に陽は膝から崩れ、その場に座り込む。
「まただ…」
小さく呟き、顔を伏せてしまった陽の背中に手を添える。
「痛い…」
伸びてくる手を握り、陽と同じようにしゃがむ。
「立てない?」
頷く陽を膝裏から抱え、リビングのソファに体を下ろした。
「どこ痛い?」
「さっきはここ、…今はこのへん」
陽は右手で二箇所の腹部に触れ、無理に笑顔を見せた。
既に病院で患者を診ている気分だ。
「……。ちょっと触るね?」
「や…ッ」
手を払われ、反対側に体を向けてしまう。
「はーる」
「…いい」
「陽」
「やだ」
「何かあってからじゃ遅いよ?」
「…ただの食あたりだって」