「陽」
こうして自宅で夕食を食べて、夜をゆっくり過ごすのはいつぶりだろうか。
久しぶりに出来たこの時間を楽しみにしていたが、そんな日に陽はダウンしていた。
「陽ってば」
「…何?」
「病院は?」
「……」
帰宅した時に眠っていた陽に強引に体温を測らせたら、体温計は"37.7"表示。
食欲もなく、ずっと怠そうにソファで丸くなっている。
風邪か…?
とも思ったが、目立つ症状は特にない。
「いつから?」
「…今朝、熱っぽいから薬飲んだ」
そう言ってまた目を閉じる陽の髪を撫でると、わかりやすく表情を歪ませる。
右手でお腹を抱えるようにして、更に体を丸めた。
「陽、お腹痛いの?」
「…うん」
「夕食、無理して作らなくていいよ」
「でも久しぶりだったから…」
俺も陽と同じ気持ち。
「そこまで体調悪くて作る必要ない」
「…ごめん」