作業が終盤に差し掛かったところで、高島が季蛍の薬を処方してきてくれた。
「季蛍もう帰ろう。家でゆっくり寝た方がいい」
高島が季蛍の肩を揺すると、重たい瞼を開いて頷いた。
「その前に薬吸入してって。今吸えばもう服用しなくていいから」
「…はい」
「季蛍には初めて処方する薬だから、気分悪くなったら教えて欲しい」
「…わかりました」
意識ははっきりしているようで、心配はいらないかもしれない。
吸入と荷物をまとめるのも手伝ってくれた高島は、素直に従う季蛍のことを褒めて上着を羽織らせてくれた。
「ありがとうね、高島」
「いいえ。移らないようにしてくださいね?いつもくっついてるから」
「…一言余計。」