__「検査結果出てからの診断になるので、1週間後にまた来てください」
「はーい」
「今日は点滴だけしておきますね」
カルテの入力を進めていたら、座っていた彼が1歩前に乗り出してきた。
「ケー番教えてくれたりしないんですか?」
「…ケー番?」
「携帯電話の番号。よかったら教え
「困ります~」
点滴の準備をしていた看護師がすぐに駆け寄ってきて、苦笑いで拒否してくれた。
「じゃあついでにお姉さんのケー番も」
「ん~、それも困ります」
看護師さんに断られると、彼は最初からそんなことはわかっていたようで
「それもそうですよね」
と言いながらベッドに横になった。
「お兄さん高熱なのに元気ですね」
「女医さんだとは思わなくてね」
「…はい、点滴中に何かあったら言ってください」
彼の言葉をさり気なく交わす看護師は、テキパキと点滴を繋いでくれた。
2人に背を向けてカルテを入力していれば、またうしろから声が聞こえてくる。
「…大丈夫ですか?」
「うん…平気」
「我慢しなくても大丈夫ですよ」
看護師が声を掛けると同時に、苦しそうな声が聞こえる。
手を止めて振り返ると、彼が膿盆に吐き出していた。
いつもと変わらず冷静に後処理をしてくれる看護師と一緒に、処置をする。
「気分まだ悪いですか?」
「…ううん。へーき」
彼は耳を赤くしながらも、看護師に促されて水道へ向かっていった。


