「仕事を休んで欲しいわけじゃないけど…無理して欲しくないなって」




「…。」




「…ちょっと思っただけ」









「…港くんが優しくするから泣いちゃいます」



「え!?俺泣かせ、ちょ、ごめん!」






港くんの言葉が胸にきてじーんとしただけだったけど。



港くんの慌てっぷりには 笑いそうだった。








「ふふ、泣かないです」






"季蛍さん~"


そう言いながら安心したように笑った港くん。







「港くんが優しいのは本当です。…なんか嬉しくて」



「いや、ただ倒れて欲しくないだけ」



"ほら、陽も寂しがるじゃん?"



そう付け加えた港くんの目は、一瞬寂しそうだった。






「陽さん、元気にしてますか?」


「もちろん。俺も会えないのが現実だけど」


「港くん忙しいですもんね」


「指導の後輩くん増えたから余計会えなくなっちゃってね」





ホッとタメ息をついた港くんの顔には、疲れが見える。





「私も頑張らないとなって、港くん見てたら思えます」


「うーん、嬉しいけど頑張りすぎたら…怖いと思う」


「…ふふ、蒼ですね」


「うん。心配してるからね」


「でも頑張らなきゃいけないのは変わらないんです」


「うん…そうかも…だけどね」






なんだか納得いかない様子の港くんだけど、港くんが気にかけてくれたその気持ちは十分すぎるほど伝わった。




「…ありがとうございます」


「いーや、なんにもしてない。」




港くんが立ち上がったので、私も追うように続いた。





「ご飯食べてね?」


「…はい、たぶん」