「ちょっと季蛍見てくる」
高島に断りを入れて寝室に行くと、枕元の明かりをつけて体を起こしていた。
「大丈夫?」
目を瞑っていた季蛍は、目が合うとゆっくり頷いた。
「頭が痛い…眠れない」
それを"大丈夫"と言うのか…?
とも思ったが。
「高島に来てもらう?せっかくそこにいるんだし」
「ん、いい。迷惑だから」
「…ちょっと触らせて?」
首元、そして額に手を触れると、さっきよりも熱い体温が伝わってきた。
「疲れ…か?」
「うん…多分」
季蛍は一瞬顔を曇らせて、曖昧な返事をした。
「でも朝までには治るから」
…つまり仕事には行く、と?
ここで『行くな』と言ったところで季蛍が聞くとは思えないので、特に口出ししないけど。
季蛍は毛布に潜ってしまったので、俺も寝室を出た。
心配そうに待っていた高島に様子を伝えると、黙ってコーヒーを飲み干した。
「ちょっと見てきても?」
「あぁ、いいけど」