「季蛍」
肩を叩かれて目を覚ますと、高島先生が荷物をまとめてくれていた。
いつの間に眠ってしまって、車に揺られていたようだ。
「家ついたよ。降りる?」
「…あ、はい」
自力で車を降りると、体を毛布で覆ってくれた。
冷たい風に体が震え上がる。
熱が上がってきそうだ…。
高島先生が背中に手を添えてくれて、一緒に部屋へと向かう。
「蒼先生30分もすれば病院出られるって」
「…そうですか」
「落ち込んでんの?」
「…大分」
部屋に着くと、蒼から預かっていた鍵で高島先生が玄関を開けてくれた。
「お邪魔しまーす」
先に私が部屋に入って、とりあえず部屋の暖房をつけた。
寒気が酷くて耐えられない…。