「大分熱くなってきたな」
首元に触れた高島先生の手が、冷たくて気持ちいい。
「インフル?…まさか」
高島先生に家の鍵を渡しに来た蒼の声が、ぼんやりと聞こえてくる。
「うーん、疲れだとは思いますけど」
寒気で震える体を、高島先生が毛布で包んでくれる。
「だといいけど」
ぼんやりしていた私の頭を撫でてくれた蒼は、
「また後でな」
と言って、温かいココアをくれた。
「ありがと…」
「じゃあ高島お願いね」
「はい、のちほど」
扉がパタンと閉まる音が聞こえて、冷たい空気が流れてきた。
「車まで歩く?」
「はい…」