「愛優ごめん、遅刻するだろ?」
「あッ…ほんとだ」
「いってらっしゃい」
「行ってきます」
愛優が玄関から出ていくと、夏来はぺたりと座り込んで。
「パパとおうち…いる…」
「パパお仕事なの。夏来はおばあちゃんちで待ってて?」
「じゃあママとおうち…」
「ママは今病院にいるの。夜からお泊まりしてるでしょ?」
「…やだ」
「もう1年生なんだから泣かないの。夏来は男の子でしょ?」
「…ん、うん」
ネクタイをようやく締めると、リビングの電気を消して玄関へ。
「じゃあおばあちゃんちで待ってる?」
「うん…そうする」


