だけど吐くものはないせいか、出るものは胃液だけ。




少しして落ち着くと、港は扉を開けて洗面所へ促した。




「歩ける?」




「…大丈夫」






最初はふらついていたものの、意識がはっきりして真っ直ぐ歩けるようになった。




水道の蛇口を捻って、冷たい水を口に含む。




だけど、口の中で激痛が走って そのまますぐに吐き出した。




…滲みる。






港が後から様子を見に来て、慌ててまた水を含むけど…。




ズキン と痛んで、すぐに水を吐き出した。






「タオル置いとくよ」




港はそれだけ言い残して、洗面所を後にした。