「……吸って」
声を掛けられてゆっくり息を吐いたら、
「吐いて」
って言われて、ゆっくり息を吸う。
…けど、港は「ん?」って顔をして 笑っていた。
「陽、吸うんだよ」
そう言われて間違いに気がついたけど、一度狂った呼吸は元に戻せなくなって。
「吸う」って言われてゆっくり息を吐けば、港は笑って服の中から手を抜いた。
手で背中を少し押されて隙間を作ると、今度は背中から手を入れられた。
次は指示通り呼吸しよう、そう思っていたけど数カ所に当てられて手は抜かれた。
「吸入どうする?音は特に気にならなかったけど」
「…いい。」
「やりたくないだけだろ?」
素直に頷けば港はまた笑って、ゼリーを渡してくれた。
「ひと口でもいいから食べて?食べたら薬飲んで寝ろ」
洗面器をすぐ側に置いてくれて、スプーンも渡してくれた。
「一応吸入持ってくるから。食べてて」
髪を撫でられたそんな一瞬が嬉しくて、自然に顔が綻ぶ。


