ずっと眺めていた天井がぼやけて見にくくなった頃、扉が開く音がした。
「陽」
小さく名前を呼ばれて反応しようとするものの、体が思うように動かない。
「お粥できたよ、食べよっか」
肩を叩かれて頷くと、トレーを置く音が耳元で聞こえる。
「はるー?」
目をぎゅっと閉じると 頬に何かが伝った気がしたけど、港の顔がはっきり見えた。
「体起こせる?」
せっかく作ってくれたから、少しは食べたい。
港に支えられながらも、なんとか上半身を起こして壁に寄りかかった。
「だいじょーぶ?」
頷けば港は優しく笑って、卵の入ったふわふわのお粥を小皿に取り分けてくれた。
「無理しなくていいから」
スプーンと一緒に小皿が渡されると、その優しいお粥の匂いに自然と顔も綻んでいく。
「味薄いかもなぁ」
なんて言いながら私の顔色を伺う港は、トレーからもう一つお皿を持ってきた。
「いただきます」
港がスプーンを入れたそのお皿の中には、作りたてのチャーハンが入っていた。
「…いただきます」
港に続いて私もスプーンを持とうとするけど、手が震えて物を掴むことが出来ない。
手を閉じたり開いたりを繰り返して、指先がなんとか言うことを聞いてくれたけど、スプーンは小刻みに震えていた。


