「文句言わないで吸入するの。終わったら音聞いて返すから」



「音は聞かなくていいです…苦しくないから」




「文句言わない」




「……」



季蛍に背を向けて作業が途中だったパソコンに向かう。





「…ケホケホ…ケホ…ッ」




咳き込みが聞こえたと思ったら



「もう終わりでいいですか…」



と小さな声がまた聞こえる。



「終わってないからだめ」



パソコンから目を逸らさずに言えば、後ろでため息が聞こえた。



「蒼先生にはもう連絡入ってるから…怒られたって俺を責めるなよ」




「……ッケホ」