「いたい…」




蒼の胸に体を預けて痛みを訴える夏来は、真っ赤な顔で目を潤ませた。





「どこ痛む…?」







夏来が蒼の手を掴んで自分の胸に持っていくと、それに従うように優しくさすってあげた。




「もうちょっとだからな…」






蒼が腕時計を見て時間を確認していると、看護師さんがバインダーを持ってきてくれた。




「問診票書いてお待ちください」




バインダーとペンを受け取ると、看護師さんは夏来に優しく声を掛けて体温計を差し出した。






優しい看護師さんにですら怯えて顔も上げない夏来は、蒼の手をぎゅっと握って離さなかった。




看護師さんがその場を離れると、また痛みを訴えて蒼にべったりくっついてしまう。





「痛いの飛んでけ…」






夏来の胸をさすってあげる蒼がそう声を掛けると、少し笑顔を見せてくれた。