今朝微熱があって1日愚図っていたと知った日の夜、帰宅すると不機嫌そうな夏来がソファで丸まっていた。
毛布に身を包んでボーッと遠くを眺めている夏来は、キッチンで作業をする季蛍を呼ぶ。
「なに?」
『吐きそう?』とキッチンから飛んできた季蛍と目が合うと
「あ!おかえり」
と言って夏来にも声を掛けた。
「パパ!」
振り向いた夏来は真っ赤な顔をしていて、小さな肩で息をしている。
「ただいま。熱出たんだって?」
「あたまがガンガンするの」
「そっか。…つらいなぁ」
頭を撫でてやると、嬉しそうに顔を綻ばせた。
「パパ抱っこ…」
「ん。いいよ」
熱を持った小さな手のひらが伸びてきて、それを受け止めるように抱えてやる。
首元に触れた夏来の額はほんのり熱くて、少し不規則な呼吸が伝わってきた。