夕飯を食べ終わってリビングから逃走した夏来を捕まえてくると、季蛍が今日もらってきた薬を取ってきた。
「飲めたら偉いよ!」
今のところ夏来が液体シロップの薬を 順調に飲んでいるのを見たことは無い。
「飲める?」
一応最初に聞いてみたけど、すぐに首を横に振られてしまった。
「飲んだら咳治るから」
「…んーん、治んなくていいから飲まない」
薬の話をしてからテンションは一気に下がって、目さえ合わなくなった。
「夏来おいで」
「離して…!」
手をすり抜けて季蛍の元へ逃げた夏来は、テーブルの上の薬を睨んで「飲まない」と首を横に振った。
「パパに飲ませてもらおうね」
季蛍が俺の膝の上に抱えていた夏来を下ろすと、体を捻らせて嫌がった。
「ほら、こんなちょっと」
小さなカップに入れたシロップを見せてやるけど、目を逸らして飲もうとしない。
「いやだ…」
胸に顔を埋めてしまった夏来に、季蛍も苦笑いを浮かべる。


