オレンジジュースを抱えて戻ってきた夏来に、蒼は「お礼言った?」と聞く。
「…ありがとう」
夏来のぎこちない笑顔にも、高島先生は笑って答えてくれた。
「いいえ~」
「それ飲んだら元気出るかもね?」
「元気出るよ!」
「じゃあもしもーしって少し頑張れる?」
「ヤダ」
夏来の即答には「参ったな」と蒼も苦笑いを浮かべている。
そんな蒼から逃げるようにそそくさと前を歩いていく夏来も、だんだん酷くなる咳を続けていた。
「夏来くんそれなぁに?」
「これ?」
「これ。可愛いね」
「咳が止まるおまもり!」
「おまもり?」
「あのね、これ持ってたら咳止まるの」
と言いながら咳を続けるもんだから、高島先生も腰を低くして背中をさすってくれた。
「すごいね、おまもりかぁ」
夏来の隣にさり気なく寄り添ってくれる高島先生に、夏来もすっかり心を開いているようだった。


