「偉いじゃんか」
「あのね、会いたくてきたの」
「誰に?」
「パパに!」
正確には"診察に来た"わけで、どちらかというと蒼と会うのは"ついで"なんだけど。
夏来は嬉しそうだし、…ね?
「どうしたの?夏来今日お医者さんに診てもらうの?」
病院へ来た本当の理由も、蒼は当然知ってるんだけど。
夏来はきっと診てもらうつもりがないことも、蒼には検討がつくのだろう。
「診てもらわなーい」
「だってほら、咳出てる」
「…でも治るやつなの」
「そっか。…パパが診てやろうか?」
夏来の体をくすぐりながら、蒼はそう言って笑っていた。
「きゃはは、やーだ。診ない」
「なんで?もしもーしってするだけ」
夏来を笑わせながらも何となく説得しようとする蒼は、
「ここに悪いのいないか見るだけだよ~?」
と言って夏来の胸の数カ所に 優しく拳を置いて見せた。
「やだ、やんない」
それでも首を縦に振らない夏来は、蒼の胸に抱きついて顔を埋めたまま動かなくなった。


