重い体を持ち上げて、診察室の扉を2回ノックする。
「はーい」
中からは聞き覚えのある声が聞こえて、扉を開くとパソコンに向かう高島先生が。
「…あの」
「ん?」
振り返った高島先生は、すぐに眉をひそめた。
「…季蛍?」
"吸入ください"と言おうとしても、急に立ち上がったせいか呼吸が乱れて力が抜ける。
「薬は?」
首を左右に振ると、高島先生はベッドを指さした。
「座って」
高島先生は白衣のポケットから吸入を取り出して、ベッドに腰を下ろした私に差し出した。
「喘息だろ?薬ないのか?」
頷くと小さなため息が聞こえた。
「急に発作が起こるか?その前に薬飲んだの?」
キレ気味の高島先生の声にシュンと体が縮まってしまう。