季蛍が席に戻ってくると、港が気にかけて声を掛けた。




「病院戻る?」



「いえ、大丈夫です」




季蛍がそう答えると、港は頷いた。






「あの…、港くん」



季蛍が控えめに名前を呼ぶと、港は何かを察したのか隣の陽さんに声を掛ける。







「…キツいな」



陽さんの様子を見た港が腕を引いて立たせると、立った瞬間に呼吸が乱れるのが分かった。




「陽、大丈夫だから」


冷静に声を掛けてやる港は、一度座らせて背中をさすってやる。




「ごめん…」




乱れた呼吸を続ける陽さんは、ずっとそう呟いていた。