重たい咳をしてそう呟く季蛍の様子を、パソコンを弄りながらも高島は気にしている。




「夜中はずっとこうなんですか?」




「んー、朝方は。薬飲まないとキツいって」




「…んなことないし、」




今更強がったところで何かが変わる訳ではないけど、季蛍はそう言って高島から視線を逸らした。



高島が使っていたペンを白衣の胸ポケットに掛けると、聴診器を手にして季蛍と距離を詰める。


季蛍も自ら服に手を掛けて、ゆっくりボタンを外していった。






それを待つようにじっと見守っていた高島だけど、季蛍が手を下ろすと苦笑いを浮かべる。




「…2つだけ?」




「…はい。」




高島と目を合わせようとしない季蛍は、床に視線を落として頷いた。



「んはは、なんで?」




不思議そうに季蛍のことを見つめていた高島だけど、手を伸ばしてボタンに手を掛けた。




「ごめん、もう1つね」




季蛍も抵抗しないけど、視線はそのまま床にある。





「…吸って」



いつものように優しい手つきで聴診器を当てる高島も、季蛍の緊張っぷりには苦笑いだった。