季節の変わり目、俺が一番嫌うこの時期。
きっと季蛍も同じように、この時期が一番苦手で嫌い。
今朝も明け方から嫌な咳を繰り返す季蛍が、リビングに薬を飲みに行った。
目覚ましの鳴る一時間前。
「起こしてごめんね」
そう言いながら戻ってくる季蛍に、今日も首を横に振る。
「薬ね?あと1回ぶん…ッ、」
片手を伸ばして布団に入るよう促していたけど、季蛍はその場で咳込んでしゃがみこんでしまう。
嫌な咳がしばらく続いて、ようやく顔が見えた。
俺も体を起こして季蛍の腕を引いてやる。
「吸入するか…?」
「ん、いい。すぐ治まると思うから…ッ」
そう言いながらもしんどそうに咳き込む季蛍の顔は、既に疲れきっている。
「起こしていいから…」
季蛍の耳元で囁くと、季蛍は小さく頷いて胸元に顔を埋めた。