「朝あんなに優しかったのに…」




無理矢理詰め込んだ一口を飲み込んで言うと、蒼はネクタイを締めていた手を止めて



「絶対薬持っていけよ」



と、若干睨まれて言われた。




やっぱり気のせいじゃなかった…よね。











「朝、起こしちゃってごめんね」





身なりを整えた蒼が近づいてきて、ゆっくりと伸びてきた手が頭の上にそっと降りた。





「気にしてたのか、そんなこと」





『もう出るぞ』と付け加えられて、時計を見ると5分前。






慌てて私も鏡の前でチェックしながら、先に玄関へ向かう蒼の後を追う。