「寝る支度しよーね」 夏来を連れて洗面所へと向かう愛優を見届けて、ソファの後ろから季蛍を覗き込む。 「…ん、邪魔」 素っ気なく押し返してきた季蛍は、顔さえ向けずにパソコンの手を進めた。 「怒ってんの?」 「…怒ってない」 「機嫌悪くない?目も合わせないで」 季蛍の隣に腰をかけて、手元を覗き込む。 「1日なんともなかったじゃん」 そう聞くと季蛍の手が一瞬止まって、唇を噛み締めた。 「…何もない」