「病院行くって言った?俺」



そんなことを伝えた心当たりもないまま、涙を止めない陽の背中をさすっていたら



『電話してた』と言って顔を上げる。




「あぁ、朝の電話聞いてたの?」



「先生に港が…」



「うん、先生に伝えた。ちゃんと診てあげたいから病院においでって言ってくれたよ?」



唇をぎゅっと噛み締めたまま俯く陽は、強すぎるくらいに手を掴んで離さなかった。